ウィニコットの精神分析
[講師] 川谷 大治 (川谷医院)
[概要] ウィニコットを分かりやすく紹介したいためにスピノザの『エチカ』を頼りに講義しました。ウィニコットの文章には詩的表現や日常語が用いられたり、また彼独自の用語の使い方を説明しないために分かりにくいからです。その穴埋めをしてくれるのが私にとって『エチカ』でした。
ウィニコット理論を説明するのに、彼の代表的な論文『移行対象と移行現象』『対象の使用と同一化を通して関係すること』の2本を軸に、他に5本の論文を用意しました。小児科医で精神分析家であるウィニコットは「遊ぶこと」や「移行対象」に代表されるように人間の喜びや創造性に関する論文がある一方で、人間の持つ「攻撃性」という負の部分にも関心を持ち続けました。彼の臨床論は小児科医という視点から「依存」を中心に展開し、人間の持つ「破壊性」の理解へと続きます。そして彼は生と死、空想と現実、交流することと交流しないこと、などの二元論から脱却するために対立する二項間の「あいだ」に注目しました。その場がスピノザの「イマギナチオ」でありウィニコットの「中間領域」なのです。
[公開日] 2022/2/1
[時間] 66分
[vimeo VOD内の動画番号] 27